Last Order

12 とあるコロニーにて

 ターミナルに備え付けられた巨大なモニターの一つには、常にニュースが流れている。一定時間ごとに内容が変わり、新しいニュースを表示するのだが、その日のトップニュースは朝から一度も変わっていなかった。
 長らく放置され、あらゆる汚染に浸っていた母なる地球。その再生計画に着手すると、マザーが宣言したのだ。詳しい内容はまだ決まっていない、人間が関わるかも未定だが、「やる」と決めた事そのものが大きな一歩だ。
 人間達は浮き足立っていた。かつての故郷であり、人間が壊した地球という宝石の再生――今や地球生まれの人間なんてほとんど残っていないが、感慨深いものがあるのだろう。
 でもどうせニンゲン。一月も経てば、途中経過に騒ぐ以外は、興味なんてなくなる。
“……まあ、だから退屈しないんだけどね”
 ターミナルの片隅、人がいなければ視線もめったに投げかけられないそこに、一人の男が立っていた。複雑な模様の入った鮮やかな服を着ているのに、背景に溶け込んで誰にも見られない。
“そろそろ一人旅も飽きたし……一回ハニーのところに帰ろうかな”
 呟きは小さく、人が多く騒がしいターミナル内ではすぐに掻き消えてしまう。聞こえたとしても東方語を知らなければ何を言っているのか分からない。
 男はもう一度モニターを見た。無機質な無表情に、わずかに喜色を浮かべる。
“これから何か起こりそうだし。楽しみだなぁ”
 クスクスと笑い、帽子を目深に被って歩き出した。派手な格好をしているのに、男はすぐに人ごみに紛れ、どこにいるのか分からなくなった。



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